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あなたは大丈夫?専門家に聞いたデザイナーにとっての著作権と商標権(知的財産権)

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読了目安時間は約 8 分です。

デザイナーにとって著作権とは切っても切れない関係です。しかし、著作権に詳しいデザイナーは以外に少なく、クライアント側も『著作権=納品物』と勘違いしている方が多くいらっしゃるように思います。そこで、知的財産権の専門家に話を聞いてきたので、ここにまとめます。

目次

デザイナーは著作権に詳しくない?!

デザイナーは常に著作物を制作しているので、著作権とは密接な関係にあります。

しかし、制作会社や印刷会社等に就職したデザイナーの方で、著作権について正しく学ぶ機会はあまりないのではないでしょうか?(ちなみに私は皆無でした。)

結構誤解されているようで、なんの疑いもなく「うちに納品されたものなんだから著作権はうちにあるよね!」とか「他で使いたいからデータちょうだい!」と言うクライアントの話を鵜呑みにする方も多いようです。

自分の商売に関わるのに「よくわからない」というのも、ちょっと問題ですよね。

とはいえ私も自信があるわけではなかったので、知的財産管理士の方に改めて確認してきました。

※以下の文章は、2020年2月の時点で知的財産管理士の方から聞いた話に、独自に検索した内容を追加して文章に起こしています。法改正や誤解釈によって事実と異なる表現がありましたらコメントにてお知らせください。

『著作権』『商標権』『知的財産権』とは?

『著作権』は『知的財産権』に含まれる権利です。『知的財産権』には『商標権』も含まれます。

では『著作権』と『商標権』の違いですが

著作権

著作権は、作品を完成させると同時に『著作者』に自動的に発生します。著作権には、著作者人格権と著作財産権があり、前者は作品を勝手に公表や改変させない権利、後者は勝手に販売や上映をして利益を得ることを禁止する権利です。ただし、保護されるのは権利発生から基本50年までです。

商標権

商標権は、特許庁に申請して審査を受けて商標登録する必要があります。自動的に発生するものではないので手間がかかりますが、定期的に更新することで半永久的に保護されることと、データベース化されることが著作権とは異なるところです。

この違いが後々ポイントになります。

著作権について詳しく説明すると

著作権は『作品を完成させると同時に自動的に発生する権利』ですので、申請や登録などは必要なく、なんなら明示する必要もありません。

これは以外に思われるかもしれませんが、「これは著作権保護されてますよー」と宣言すること無く、無許可で改変した人に注意することできるんです。これを『無方式主義』と言います。

この『無方式主義』は日本だけのものでなく、1886年スイスにて制定された「ベルヌ条約(文学的及び美術的著作物の保護に関する国際条約)」を採用する150以上の国が従っているものです。100年以上前からって、結構昔に決められたものなんですね。150カ国というとほとんど全世界とも言えます。意外と加入が遅かったのがアメリカの1988年で、いろいろあったみたいなのですが、興味のある方はググってみてください。

『無方式主義』に対して『方式主義』というものもあり、この場合は『©』のように明記しないといけません。上記の1988年以前のアメリカがまさに『方式主義』でした。

著作権の弱点

弱点は、『元の作品や商品に偶然似てしまった場合、盗作とは認められない可能性がある』ということです。これは、知ってて似せたのか、知らずに偶然似てしまったのか、立証するのが非常に難しいためです。(いわゆる『悪魔の証明』です。これも興味のある方はググってみてください。)

2020東京オリンピックのロゴ問題がその例です。佐野研二郎氏のロゴ案がベルギーの劇場のロゴに似ていると問題になりましたが、結局著作権侵害とはなりませんでした。

ただ、もし件の劇場ロゴが商標登録をしていた場合、話は違っていたと思います。

ロゴは商標権で保護!

このような事例を回避するためには、『商標権』で保護すると良いです。

商標登録することによってデータベース化されます。これはつまり「商標登録されたものは検索可能なので『知らなかったー』じゃ済まされないよ」ということです。元のデザインをちょっと改変しただけでは引っかかる可能性があるのです。

東京オリンピックロゴ問題でも、商標登録されていなかったことで「法的に問題なし」となりました。

このことから、予算の都合などもあると思いますが、できる限りロゴやシンボルマークなどは商標権で保護することをオススメします。

商標登録されたものは特許情報プラットフォーム[J-PlatPat]から検索できます。

ちゃんと検索して、訴えられないようなデザインにすることも、デザイナーの仕事ですよ。

著作権は誰のもの?

話が長くなってしまいましたが、本題です。

著作権は誰のものか?もちろん、『著作者』です。しかも無方式主義で自動的に保護されます。なので「著作権を譲渡します」とか「放棄します」と宣言しない限り、創作した人が著作権者となります。

特別に契約しない限り、基本デザイナー有利です!

クライアントに納品した制作物をクライアントが勝手にいじった場合、著作権侵害にあたります。「こっちで弄りたいのでデータくださいよー」というクライアントにはビシッと言いましょう!

…と言いたいところですが、クライアントとの力関係によっては何も言えないこともあると思います。あとでもめないために、著作権についてクライアントにしっかり説明し、著作権を譲渡する場合は譲渡料も考慮して見積もりましょう!

著作権者=個人?会社?

ここで気になるのは『著作権者』って具体的に誰を指すの?というところですが…基本的には『思想又は感情を創作的に表現した人』つまりデザイナー個人です。お金を出しただけの人は著作者とはなりません。

ただし、デザイナー個人がデザイン会社の従業員だったりすると話は別です。

従業員が職務でデザインした場合は、原則会社に著作権が帰属することになります。これを『職務著作』といいます。もしかしたら就労規則などに『職務中に創作した著作物の権利は会社に帰属するよ』と書かれているかもしれませんので一度確認してみてください。会社が著作権者となることが一般的でしょう。

デザイン外注の場合は?!

では外部のデザイナーに外注した場合はどうなのでしょう?

この場合は社外の人に発注するので、外部デザイナーが著作権者になります。

が、発注者からどのような指示が出ているかにもよるかもしれません。つまり、発注者の指揮下にあって「ここはこうして配色はああして…」という細かい指示があったのであれば職務著作にあたるかもしれません。

そのへんを受注の際にはしっかり確認して契約することが、お互いにとって良い方法だと思います。

まとめ

  • 著作権は著作者に対して無方式主義で自動的に発生=デザイナー有利
  • 著作権者=(デザイナーが会社員なら)会社・(フリーランスなら)個人 ※例外あり
  • ロゴ・シンボルマークなどは商標登録したほうが良い

いかがだったでしょうか?

デザインする場合に気をつけないといけないのは、相手が著作権侵害になる場合もあれば、逆に自身が侵害する場合もあるということです。いざというときのために、正しい知識を身につけて論理武装しましょう。

なお、私は知財専門家ではないので責任は負いかねます。トラブルの際は専門家にご相談ください。知的財産権については各地に相談窓口があります。無料相談をしているところもありますので、一度ご確認ください。

それでは、また。

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